ターゲティングとは?フレームワークである6Rや成功事例を解説
市場の多様化が進む中で、参入する市場や主要な顧客選びの重要性も同じく増しています。自社のリソースをすべての市場で網羅するのが難しい現在では、市場を絞り込み、自社の資源を有効活用することが必要です。市場を絞り込むためのマーケティング活動は、ターゲティングと呼ばれます。ターゲティングはマーケティングフレームワークである「STP分析」の2段階目であり、市場へ参入を行う際の分析手法として効果的です。
この記事では、ターゲティングの意味や、フレームワークである6Rとともに、ターゲティングを行うときの注意点や成功事例を解説します。
目次
1. ターゲティングとは
ターゲティング(Targeting)とは、マーケティング活動の1つで、ビジネスにおいて商品やサービスを販売するターゲットを絞り込むことです。消費者の価値観や生活スタイルが多様化した現代では、ターゲティングによって自社に適した市場を選定し、ビジネス戦略を明確にすることが求められます。
1-1. ターゲティングはSTP分析の2段階目
ターゲティングは、アメリカの経営学者フィリップ・コトラーによって提唱されたマーケティングフレームワーク「STP分析」の2段階目に位置付けられます。STP分析は、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの視点から分析を行います。
セグメンテーション(Segmentation)とは、市場を細分化することで、自社製品やサービスの売上が見込めそうな消費者群を見極めやすくする段階です。性別や年齢などの属性情報、安さ重視、機能性重視といったニーズによって分類されるのが一般的です。
ポジショニング(Positioning)とは、ターゲティングで選定した市場の中で、自社がどのような立ち位置を取るべきなのかを分析する段階です。競合商品に対して、どのようなポジションで戦い、自社製品を差別化していくのかを考えていきます。
STP分析によって、現在自社が獲得できている顧客の属性や、自社のサービスや商品の強みを把握でき、自社が取るべき戦略を定められます。
2. ターゲティングのフレームワーク「6R」
ターゲティングを行う際にはフレームワークとして、主に6Rが用いられます。6Rはターゲティングをはじめとする、STP分析を正しく行うために有効な6つの指標です。それぞれの言葉の頭文字がRであることから、6Rと呼ばれます。
6Rの各要素の意味について詳しく解説します。
2-1. 市場の規模(Realistic Scale)
自社が参入予定の市場規模を示す指標です。基本的には商品を売り出す市場が大きいと、1人あたりの消費量や消費額を多く見込め、利益が大きくなる可能性も高まります。
しかし、大規模なマーケットでは競合商品に埋もれて自社商品の魅力が消費者に伝わらなかったり、収益の拡大や安定が難しくなったりするデメリットがあります。マーケット規模が小さいニッチな市場で大きいシェアを獲得している会社もあるため、市場が大きいほどよい訳ではない点に注意が必要です。
市場規模のチェックには、各省庁や民間調査団体が公表しているデータを参考にするとよいでしょう。市場の成長率やライバルの状況といった要素も踏まえ、自社に適切な市場規模を見極めることが大切です。
2-2. 市場の成長性(Rate of growth)
ターゲティングにおいては、参入する市場が将来成長するのかどうかという長期的な視点も重要です。
生まれたばかりの市場や、成長期にある市場は先行者利益の獲得やシェア拡大が期待でき、狙い目と言われています。一方、すでに衰退が始まっている市場では、将来の売上が見込めないかもしれません。
マーケットの成長段階は商品やサービスの売上に影響するため、競合企業の売上高やシェア、トレンドを分析して市場成長性をチェックしましょう。
2-3. 優先順位(Rank)
優先順位は、顧客にとって自社商品やサービスの優先度が高いかどうかを表します。ターゲット層の関心度が高い商品は、市場で注目されやすく、売上に結びつきやすいのが特徴です。
利用者層の分布や男女比率、トレンドなどを確認し、市場における優先度を分析しながらターゲットに興味関心を持ってもらえる商品やサービスを検討しましょう。メディアやSNSでよく見かける商品やサービスは、顧客にとっての優先度も上がりやすいため、各媒体で拡散されやすい仕掛けやプロモーションを行うことが大切です。
2-4. 競合の状況(Rival)
競合の状況とは、ターゲティングした市場でライバルとなる企業や商品、サービスの状況を把握する指標です。
競合相手が多く、競争が激化している市場はレッドオーシャンと呼ばれ、競争相手が少ない未開拓の市場はブルーオーシャンと呼ばれます。自社商品などに他社と差別化できる強みがある場合をのぞき、ライバルが少ないブルーオーシャン市場に参入するのが理想です。
ライバルの数という量的な競合状況だけではなく、地域性や営業手段、販売ルートといった質的な競合状況もチェックすることが重要です。
2-5. ターゲットへの到達性(Reach)
ターゲットへの到達性とは、顧客に対して的確にアプローチできるかという到達可能性を示す指標です。優れた製品でも、ターゲットにプロモーションが届かない場合や、そもそも製品そのものを届けられない場合は、ビジネス展開は難しいでしょう。地理的、物理的に自社の商品やサービスの提供が可能かを検討しておくことが大切です。
顧客にアプローチする方法には広告やSNS、ランディングページなど、さまざまなものがあります。市場に参入する前に、ターゲット層に的確にアプローチできる手法があるかどうかを確かめておきましょう。
2-6. 測定可能性(Response)
測定可能性とは、マーケティング戦略の効果が測定できる可能性を表す指標です。マーケティングでは、効果を具体的な数値で管理し、今後の施策に活用することが求められます。
効果測定がうまくできなければ、マーケティング目標が達成できているのかが分からず、次回からの戦略を適切に決めることができません。適切にマーケティングの効果を測定できるターゲットであれば、数値で戦略の成否を確認でき、担当するメンバーのモチベーションもアップするでしょう。
3. ターゲティングを行うときの注意点
ターゲティングを行う際には、以下の3つに注意しましょう。
4. ターゲティングの成功事例
ターゲティングの成功例として、以下の2つを紹介します。
出典:ライフネット生命保険「ライフネット生命が選ばれる理由」
まとめ
ターゲティングとは、商品やサービスを販売するターゲットを絞り込み、市場を選定するマーケティング活動です。
ターゲティングを行う際には、6Rと呼ばれるフレームワークが利用されます。6Rは市場の規模・成長性・顧客の優先順位・競合の状況・到達性・測定可能性の6つの指標からターゲティングを行うものです。ターゲティングでは、自社のビジョンとターゲットに矛盾しない、範囲の絞りこまれた層を選び出すことが重要です。
ターゲティングを効果的に行うためには、適切なデータ分析が必要です。「CTC」の「CTC Autonomous Marketing with Google Cloud」は、Google Cloudを活用し、効果的な分析と最適なマーケティングの実現を目指します。