【Special Award受賞】Liquid AI Hackathon
- 駒場 成美
- 10月30日
- 読了時間: 3分
著者:駒場 成美(金融NEXT企画部 AI推進課)
はじめに
この度、米国Liquid AI が主催する Liquid AI Hackathon in Tokyo に参加しました。本イベントは「小型・高速な言語モデル(SLM:Small Language Model)を活用し、リアルな課題を解決するアプリを創る」をテーマとした国際ハッカソンです。世界各地からエンジニアが集まり、エッジデバイス上で動作するアプリを開発しました。
サービスの考案から実装までを2日間で行う、とても良い経験でした。私たちは、認知症リスク早期検知エージェントの「Dialognosis(ダイアログノシス)」というサービスを考案したので、その内容やイベントの様子について共有いたします!
『Liquid AI Hackathon』とは
『Liquid AI Hackathon』は、米国MIT出身の研究者らによって設立されたAIスタートアップ Liquid AI が主催するハッカソンです。Liquid AIは、現在主流の深層学習アーキテクチャである Transformer とは異なる新しいアプローチにより、高精度かつ軽量な次世代モデル の実現を目指しています。
本ハッカソンでは、Liquid AIが開発したLiquid Foundation Model(LFM)を用い、「ローカル環境・エッジデバイス上で動作可能なAIアプリ」 をテーマに、参加者が 日本に適した実用的なソリューション の開発に挑戦しました。

Dialognosis(認知症リスク早期検知エージェント)
今回のハッカソンでは、日本における高齢化と認知症の増加という社会課題に着目し、日常の気軽な会話から認知症リスクを早期に検知するAIエージェント「Dialognosis(ダイアログノシス)」 を開発しました。
このサービスは、「気軽に話すだけで認知症リスクに気が付ける」をコンセプトに、利用者が日常の雑談を通して自然に認知機能をチェックできる仕組みになっています。
雑談や簡単な脳トレを通じて収集された音声データをAIが解析し、認知症リスクをスコア化。必要に応じて家族や医療機関へのエスカレーションもできます。
「気づけない・言い出せない」認知症初期のサインを、AIの“聴く力”でそっと見守る新しいケアの形を提案しています。

ファインチューニング
私たちは、Liquid AIのファンデーション言語モデル「LFM2-1.2B」 をベースに、4,000件以上の会話データを用いてファインチューニングを実施しました。
このデータには、高齢者との雑談や脳トレ会話、認知機能をの評価パターンなど、認知症スクリーニングに有用な要素を幅広く含めています。
これにより、
自然な対話の生成(雑談・質問応答・話題継続)
会話内容のスコアリング(認知症リスク・信頼度推定)
レポートの作成(認知症リスクのOLD(初期認知症症徴候観察リスト:Observation List for early signs of Dementia)式レポート生成)
といったタスクを 1つのモデルで同時に実現 することに成功し、エッジ環境でも動作可能な精度と速度を両立できました。これが今回の大きな技術的チャレンジであり、成果のひとつとなりました。

Special Award(第3位)獲得
今回のハッカソンでは、世界各国から約30チームが参加し、それぞれが開発したAIアプリケーションを英語で5分間プレゼンテーションしました。
全チームの発表後に結果が発表され、私たちは見事 Special Award(第3位) を受賞できました!

まとめ
今回のハッカソンを通じて、ファインチューニングによる小型モデルの可能性 を実感しました。
限られたリソース環境でも、工夫と設計次第で高精度かつ応答性の高いAI体験を実現できることを学び、“軽さと賢さを両立するAI” の重要性を改めて感じました。
この経験を糧に、今後はより多くの実サービスでこの知見を活かし、社会に根ざしたAI活用の形を広げていきたいと思います。


