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【Google Cloud Next 2025】生成AI×巨大球体スクリーンで甦る『オズの魔法使い』

更新日:2 日前

著者:柳川 陸(金融NEXT企画部 AI開発課)



4月8日に Las Vegas の Sphere で開催された Google Cloud パートナー向けの Exclusive Event に参加してきました!

『オズの魔法使い』を Sphere で上映するにあたってのメイキング映像や、その制作過程における課題についてのお話がありました。



Sphere とは?


Sphere とは、2023年9月29日に Las Vegas に開業した世界最大級の没入型エンターテインメント施設です。施設の外観は以下の動画のようになっており、その巨大さが分かるかと思います。


約18,000人を収容可能で、直径112メートルのドーム型LEDスクリーンが搭載されています。

客席に座ると視界のほとんどが超高解像度スクリーン(16K)に覆われる他、16万個の指向性スピーカー、音声に合わせて座席が振動するハプティックシート、風や香りなどの五感演出が可能で、臨場感が溢れる映像体験を実現しています。



生成AIで甦る『オズの魔法使い』


『オズの魔法使い ( The Wizard of Oz ) 』は、Victor Fleming 氏の監督により1939年に公開されたファンタジー・ミュージカル映画です。


Sphere で上映するための『オズの魔法使い』の新たな映像作品を制作するにあたっては、Google DeepMind × Google Cloud × Sphere Entertainment × Magnopus × Warner Bros の5社が協力し合って取り組んでいるとのことです。


『オズの魔法使い』のカンザス州の農場を想起させる映像を背景に Google の Sundar Pichai CEO が登壇
『オズの魔法使い』のカンザス州の農場を想起させる映像を背景に Google の Sundar Pichai CEO が登壇

Sphere に対応した『オズの魔法使い』を制作するにあたって、どのような技術課題とそれに対応したソリューションがあったのでしょうか?



Veo 2 + Imagen 3 + Gemini による映像の超解像化(Super-Resolution)


Sphere の画面解像度に対して、元作品の解像度が不足している課題がありました。

元作品はアスペクト比が4:3でかつ低解像度なものとなっており、Sphere の巨大で超高解像度な16Kスクリーンの魅力を最大限に活かすことができません。


それを解決するために使用されたのが、Google DeepMind が開発した動画生成AIモデルの『 Veo 2 』と画像生成AIモデル『 Imagen 3 』、そして Gemini でした。


今回のプロジェクトにおいては、これらの生成AIを組み合わせて、専用の超解像化ツールを開発し、元作品のセルロイド製のフィルムの画像 から Sphere で上映できる超高解像度な映像 に変換しました。


そして、ただ古い映像を高解像度に変換するというだけでなく、映像のディティールや質感まで復元することを追求し、元映像データを使用してAIモデルをファインチューニングし、肌の質感やまつげ、そばかすなど細部にこだわって表現しているとのことです。




AIの想像による画角外の描画(Outpainting)


次に、Sphere の画角の広さに対して、元作品の画角が不足している課題がありました。


元作品は低解像度でありアスペクト比は4:3ですが、Sphere は1:1( 16K×16K )となっています。つまり、4:3のまま超解像化された作品をそのまま投影したところで、以下の画像のようにSphere のスクリーン上には隙間ができてしまいます。これを解決するために、なんとかして元作品に本来存在していない画角外の描画をする必要があります。


オリジナル版『オズの魔法使い』と Sphere の画角の広さの比較
オリジナル版『オズの魔法使い』と Sphere の画角の広さの比較

これを解決するために生成AIによる画角外の描画( Outpainting )を行うことにしました。

また Outpainting を行うにあたっては、Veo 2 が採用されました。


これにより、画角外の描画が可能になるのですが、描画にあたってはもう一つの課題がありました。

それが、シーンの雰囲気やキャラクターの表情・意図を映像に反映するように配慮する必要があるということです。ただ Veo 2 で画角外の描画しただけで、それらを配慮しきれませんでした。


それを解決するために、Veo 2 に加えて Gemini が使用されました。

シーンの雰囲気やキャラクターの意図などを Gemini が生成し、そのプロンプトを Veo 2 へ連携することで、さらに元作品をリスペクトした形での映像の生成を実現できているとのことです。




いかがでしたか?

Google Cloud よりメイキング映像も公開されているので、ぜひご覧ください!






また本記事のトピックからは外れますが、今回のイベントにおいてはその他にも Text-to-music が可能な Lyria や、翻訳モデル、埋め込みモデル、気象予測モデルなども公開されました!

Vertex AIから利用可能なので、ぜひお試しください!



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