【Google Cloud Next 2025】基調講演
- 柳川 陸
- 4月11日
- 読了時間: 3分
更新日:3 日前
著者:柳川 陸(金融NEXT企画部 AI開発課)
Las Vegas で開催された Google Cloud Next 2025 の基調講演に参加してきました。
生成AIに関するトピックが多くあり、その中の3つのトピックについて記事にまとめました。

① Gemini 2.5 Pro のプレビュー版を提供開始
Geminiは、Google Cloudが提供する大規模言語モデルです。既に多くの企業が利用していますが、最新バージョンである Gemini 2.5 Pro のプレビュー版が公開され、より深い思考能力を獲得しているとのことです。
またマルチモーダル入力の理解力を強化しており、テキスト・画像・音声・動画など、さまざまな形式のデータを横断的に扱うことができるため、活用できるユースケースが飛躍的に拡大します。また現在のコンテキストウィンドウは100万トークンですが、近日中に200万トークンに対応するようです。加えて、 Gemini 2.5 Flash の提供開始も計画されているとのことです。
Sundar Pichai 氏のプレゼンテーションの中では、Gemini 2.5 Pro を使って10x10x10のルービックキューブを解いたり、物理シミュレーションを行うようなデモが示されました。
以下のように2025年4月2日時点で gemini-2.5-pro-exp-03-25 がランク1位となっています。

このモデルは既に Google Cloud Vertex AI や Google AI Studio において利用可能なので、皆さんも是非試してみてください!
② オンプレミス版Geminiの提供開始を予定
Google の最も高性能な生成AIモデルである Gemini が、Google Distributed Cloud(GDC)において利用可能になることが発表されました。2025年3Qよりパブリックレビューを開始予定とのことです。
NVIDIA と提携し、NVIDIA Blackwell システム上に Gemini を搭載し、Google またはその他のチャネルから購入できるようになります。
Gemini on GDC を導入することで、オンプレミスでのデータ保持が必須となるような厳格なセキュリティ要件を持つ金融機関やその他の業界における生成AIの活用がさらに加速していくことが期待されます。
これまでクラウドでしかアクセスできなかったエンタープライズレベルのLLMを、ユーザー自身の環境内に構築できるようになることは、AI活用の選択肢と柔軟性を大きく拡張し、AI市場におけるゲームチェンジを引き起こすポテンシャルを秘めています。
データ主権やレイテンシ、コスト、セキュリティの観点からオンプレミスを選択してきた企業にとって、生成AIの導入が現実的な選択肢として一気に加速するターニングポイントとなるでしょう。

③ AIマルチエージェント開発フレームワーク Agent Development Kit(ADK)の公開
個人的に最も興味が湧いたのが Agent Development Kit(ADK)の発表でした。
最近はさまざまなAIマルチエージェントの開発フレームワークが公開されてきていますが、ついに Google からオープンソースの開発フレームワークが公開されました。
AIエージェント開発フレームワークの界隈を見ていると、TypeScript向けかPython向けのものが多い印象ですが、ADK はPython向けのようです。( ADK公式リポジトリはこちら )
また、こちらのリポジトリではADKで開発を進めていくためのサンプルコードが掲載されており、とても参考になりそうでした。ワークフロー型 or 会話型 のパターンと、シングルエージェント型 or マルチエージェント型 といったパターンでそれぞれのサンプルコードが公開されていて、実現したユースケースに合うコードを見ると良いと思います。
Google Cloud Next 2025 の各セッションを見ていると、企業の導入事例としてADKをシステムアーキテクチャに組み込んでいるところがちらほらと見られ、これからもADKの事例が増えていくのかと思われます。

いかがでしたか?
この他にも興味深い発表が多くあり、次の記事を執筆予定ですので、お楽しみください!