著者:福永 圭佑(金融NEXT企画部 開発企画課)
はじめに
CTCが法人会員として参加している特定非営利活動法人 金融IT協会(FITA)がJapan FinTech Week連携イベントとしてFinGATE(平和不動産株式会社)と共催した「金融×スタートアップEXPO 2024」にパネリスト登壇して参りました!
今回のディスカッションテーマは「生成AIの活用に取り残されるな!~金融ITの民主化に向けた利活用~」ということで、以下のような豪華な登壇者のみなさまに交じってのトークでした。貴重な機会をいただき光栄でした。
阿部 展久 氏(金融IT協会 理事 / みずほフィナンシャルグループ 執行理事 情報セキュリティ担当(グループCISO))
中村 義幸 氏(セブン銀行 CX部 部長 / 一般社団法人金融データ活用推進協会標準化委員会 委員長代行)
岡田 拓郎 氏(金融IT協会 副理事長 兼 事務局長 / 金融データ活用推進協会 代表理事)(モデレーター)
生成AIやITの組織内での利活用推進
最初のトークテーマは「生成AIやITの組織内での利活用推進」でした。
みずほフィナンシャル・グループの阿部氏やセブン銀行の中村氏からは各組織における生成AIに関する組織や取組についてのお話をいただきました。
私からは、金融NEXT企画部創設の経緯として、顧客ニーズ・技術・人材育成の「3つのNEXT」に応えようとしていることを前提としてお伝えしたうえで、生成AIの利活用をシステムインテグレーターの立場から色々な銀行に展開していくための取組についてお話しました。
生成AIの活用事例やシステム分野への利活用
2つめのトークテーマは「生成AIの活用事例やシステム分野への利活用」でした。
みずほフィナンシャル・グループの阿部氏からはサイバーセキュリティへの生成AIの応用についてのお話などがありました。セブン銀行の中村氏からは攻めと守りの組織的なAI活用についてや、KPIとして「ユースケース数」を設定し、100個超のユースケースを洗い出したお話などをいただきました。生成AI活用の際に、ユースケースの設定は大きな躓きポイントになるので、この取組は目を見張るものがあるなと感じました。
私からは、金融データ推進協会(FDUA)の活動において、金融業界向けの生成AI活用ガイドラインを作成中であることを紹介しました。本活動には私も執筆者として関わっています。各政府や機関などから多数のAI関連ガイドラインが出ていますが、金融機関および生成AIに特化したものがまだないため、それを鋭意執筆中です。近々リリースするべく専門家・有識者によるレビュー中なので、公開をお楽しみに。
また、LLM(Large Language Model)の業務への活用に関する検証を進めていく中で、システム1とシステム2の壁がある点についても言及しました。
システム1は直感で回答するアプローチ、システム2は論理・思考で回答するアプローチです。システム1が条件反射的なもので、現状多くのLLMを使った取組がこの段階にあると考えています。一方、OODAモデルという思考プロセスを実装することで、システム2のレベルでユーザに従来より深い思考や洞察をもとにしたアドバイスや提案を行うようなモデルの構築にチャレンジ中であることを紹介しました。
具体的には、参考ユースケースとしてAitomatic社の「aiVA」というソリューションを活用し、AI投資アドバイザの実装に取組しています。本ユースケースにご興味を持っていただいたお客様と、新たなユースケースの検討も進めています。
金融IT協会へ期待すること
3つめのトークテーマは「金融IT協会へ期待すること」でした。
みずほフィナンシャル・グループの阿部氏やセブン銀行の中村氏のコメントから、やはり人材育成やスキルの標準化というところに期待や着眼点があることが感じられました。
私からは、システムインテクグレーターとして金融業界に関わるエンジニアが何を学べば良いか迷わないための指針として期待している旨をお伝えしました。私自身も金融IT協会のデジタル人材育成委員会にて、2024年9月から提供開始予定の「金融IT検定」の作問等に関わっておりますし、金融業界のITリテラシ向上のために貢献できればと考えています。
また、取組の紹介として金融データ活用推進協会(FDUA)と作成した「デタカツ」というカードゲームを紹介しました。組織のリテラシ向上が様々な文脈で課題になるなか、楽しくわかりやすく、課題ドリブンかつゲーム感覚で素養を磨けるようなものをめざしています。このような取組で得た知見やリレーションをFITAでも活かしたいとコメントさせていただきました。
おわりに
本パネルディスカッションでは、生成AIに関する取組を中心に先進的なテーマ、具体的なテーマを短い時間の中で高い密度で議論することができました。
このような貴重な機会を創出していただいた金融IT協会(FITA)のみなさまや、イベントへの参加・視聴をしていただいたみなさまに感謝申し上げます!ありがとうございました!
当日の様子はコチラからご視聴いただけます。