ソーシャルマーケティングとは?メリットと注意点・対処法を解説!
ソーシャルマーケティングとは、社会貢献活動を通して社会全体の利益や利便性を向上させるためのマーケティング手法です。社会貢献活動に取り組めば、ブランドイメージの向上が期待できるほか、投資家へのアピールにもつながります。
当記事では、ソーシャルマーケティングの概要をはじめ、CSRとの違いや主なメリット、取り組む際の注意点と対処法を紹介します。ソーシャルマーケティングに関して詳しく知りたい人や社会貢献を通してブランドイメージを高めたい人はぜひご覧ください。
目次
1. ソーシャルマーケティングとは
ソーシャルマーケティングとは、従来のマーケティング手法を用いてさまざまな社会的課題の解決を図り、社会全体の利便性や利益を向上させることを目指す考え方です。ソーシャルマーケティングは、アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱しました。
一般的なマーケティング手法では、顧客ニーズに合った商品・サービスを提供することで売上向上・利益向上を目指します。一般的なマーケティング手法を、企業や顧客のみならず、社会的利益の追求のために利用するのがソーシャルマーケティングの考え方です。
ソーシャルマーケティングの概念は、政府や行政機関、地方自治体、病院や学校など、元々社会全体の利益を目的としていた非営利団体にも広がりつつあります。
1-1. CSRとの違い
ソーシャルマーケティングとCSRとの違いは活動の目的にあります。CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、「企業の社会的責任」という意味を持つ言葉です。社会的責任とは、従業員や消費者、投資家、地球環境、地域社会など、社会のあらゆる影響範囲に対して適切な活動を行う責任のことを指します。事業を存続させて納税することもCSRの一環です。
一方ソーシャルマーケティングは、企業が社会的責任を果たすための活動を通して、一般消費者や社会の共感を得ることを目的としています。例えば、寄付活動や環境保全活動などはソーシャルマーケティングの一部です。
ソーシャルマーケティングには、社会貢献活動を通して社会の問題に注目させ、社会をよりよくする狙いもあります。ソーシャルマーケティングは、CSRの一部とも言えるでしょう。
1-2. ソーシャルマーケティングが重視される理由
かつての企業は、自社の利益を追求するあまり大量生産・大量消費を繰り返し、結果として環境問題や公害を発生させることもありました。ソーシャルマーケティングが重視されるようになったのは、まさに企業活動による環境問題や公害がきっかけです。企業活動によって社会が不利益を被ることに対する世の中の関心が高まったため、環境に配慮した活動を行っているとアピールする必要性が増しました。
消費者は性能などが似た2つの商品があると、商品を販売する企業を比較します。どちらかが社会貢献に積極的な企業であれば、積極的な企業の商品が選ばれやすいでしょう。商品の性能や価格のみの差別化が難しい現代では、ソーシャルマーケティングの需要が今後も高まっていくと予想されます。
2. ソーシャルマーケティングの主なメリット4つ
消費者の多くは、社会貢献活動に取り組む企業に対して良いイメージをもっています。企業がソーシャルマーケティングを通して社会貢献活動を行えば、地域からの信頼性が高まり、ブランドイメージの向上が期待できるでしょう。
ソーシャルマーケティングには、ほかにもさまざまなメリットがあります。ここからは、企業がソーシャルマーケティングを行う際の代表的なメリットを4つ紹介します。
2-1. ブランドイメージの向上が期待できる
消費者は、社会問題や環境問題に対して高い意識をもつ企業に良いイメージをもつ傾向にあります。企業がソーシャルマーケティングに積極的であれば、多くの消費者から共感が集まり、ブランドイメージの向上が期待できるでしょう。現代は多くの商品・サービスであふれているため、ブランドイメージが向上すれば競合他社の商品・サービスとの差別化も図れます。
ソーシャルマーケティングを継続的に行えば、既存顧客からの購入も増え、長期的な利益が生まれやすくなります。
2-2. 投資家へのアピールポイントになる
従来の投資では投資家の信頼を獲得するために、顧客満足度やサービスなどをアピールして、売上が優先される傾向にありました。しかし、現代では企業価値に環境や社会、ガバナンスへの配慮が求められるようになり、社会的責任を果たしている企業が評価されやすくなっています。
ソーシャルマーケティングを通した社会貢献への取り組みは、投資家の信頼を集め、投資を呼び込むPRにつながるでしょう。投資家へCSR活動を積極的にアピールすれば、既存の株主をつなぎ止めて経営を安定させることもできます。
2-3. 保険的な機能がある
消費者は社会貢献活動を行う企業に対して良いイメージを持ちます。ソーシャルマーケティングを通して地域社会で高い評価を得ている企業は、何らかの危機に直面した際に人々から救われやすい傾向にあります。
例えば万が一暴動やデモ運動が起こったときでも、ソーシャルマーケティングに取り組む企業は被害を免れやすいでしょう。実際に、1992年にロサンゼルスで起きた暴動事件において、地域貢献活動に積極的だったマクドナルドの店舗は被害に遭いませんでした。
地域社会から信頼を獲得するには時間がかかりますが、長期的な社会貢献活動への取り組みによって有事の際の助けとなる場合があります。
2-4. 人材の確保につながる
ソーシャルマーケティングへの取り組みによってブランドイメージを向上できれば、企業の社会的な評価が高まり、優秀な人材が集まりやすくなります。少子高齢化社会となり働き手が少なくなっている現代では、人材確保が見込める点は大きなメリットと言えるでしょう。
また、ソーシャルマーケティングを通して従業員が「自分の働きが社会の役に立っている」と実感できれば、組織としての士気向上にもつながります。
3. ソーシャルマーケティングの注意点は?対処法も解説
ソーシャルマーケティングを行うとブランドイメージの向上が期待できますが、商品・サービスへの貢献度は見えにくい点に注意しましょう。また、ソーシャルマーケティングは全社的な取り組みが必要なため、経営トップの意思が不可欠であり、ボトムアップで進めるのは難しいという特徴があります。
ここからは、ソーシャルマーケティングに取り組む上での注意点と対処法について解説します。
3-1. マーケティングの効果が見えにくい
ソーシャルマーケティングには、効果や社会貢献度が見えにくいという特徴があります。特に、1回きりのソーシャルマーケティングでは目に見える効果を得られる可能性は低いでしょう。
ソーシャルマーケティングで効果を得るには、継続的なマーケティングを実施することが大切です。どのような小さな規模のソーシャルマーケティング活動でも、継続して行うことで賛同者や協力者が増えます。社会的影響力が大きくなるにつれ、良いイメージの定着につながるでしょう。
3-2. ビジネスへの利益に直結しない
ソーシャルマーケティングは基本的に社会貢献を目的にした手法であるため、企業利益には直結しません。ソーシャルマーケティングによって将来得られるであろう利益をあてにしていると、予算が尽きるなどの理由で活動を継続できなくなる恐れがあります。
ソーシャルマーケティングはメインで行っているビジネスの予算や時間との兼ね合いを考慮し、できる範囲で活動を行いましょう。長期的に活動に取り組めれば、企業に良いイメージが定着し、売上アップにつながる可能性もあります。
3-3. 活動内容が複数ある
ソーシャルマーケティングの内容は複数あるため、活動によってPRできる内容が変化します。活動内容を選択する際は、社会問題に取り組む理由や企業の将来像を1つのストーリーとして、消費者や社会全体に伝えるとよいでしょう。
例えば、社会貢献活動の1つに環境保全が挙げられます。二酸化炭素排出量が多い企業では、ソーシャルマーケティングの一環として、二酸化炭素排出量の削減を目指す「カーボン・オフセット」に取り組んでいるケースもあります。
まとめ
ソーシャルマーケティングとは、社会的課題の解決を図り社会全体の利便性を高めるマーケティング手法です。CSRが企業の社会的責任を意味するのに対し、ソーシャルマーケティングは社会的責任を果たすための活動を指します。ソーシャルマーケティングには、ブランドイメージの向上が期待できるほか、投資家へのアピールポイントになるなどのメリットがあります。
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