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サプライチェーンリスクとは?原因とセキュリティ面の対策方法を解説

サプライチェーンリスクとは?原因とセキュリティ面の対策方法を解説

経済のグローバル化に伴い、企業が仕事を委託する先は広範囲にわたります。商品が消費者のもとに届くまでには多くの工程があり、それをサプライチェーンと呼びます。サプライチェーンは商品を供給するときの生命線であり、さまざまなリスクから守らなければなりません。

 

当記事では、サプライチェーンリスクとはどのようなものか説明した上で、対策方法を詳しく解説します。非常時に滞りなく業務が行えるよう、平常時からサプライチェーンリスクに備えておきましょう。

 


 

目次

 

1. サプライチェーンリスクとは?

1‐1. サプライチェーンリスクの原因

 

2. サプライチェーンリスクへの対策方法

2‐1. サプライチェーンマネジメントを行う

2‐2. BCPを策定する

2‐3. 拠点を分散させるあ

 

3. サプライチェーンへのセキュリティ対策

3‐1. セキュリティの状態を可視化する

3‐2. 技術的な対策を行う

3‐3. 組織的な対策を行う

 

まとめ

 

 



1. サプライチェーンリスクとは?


サプライチェーンは工程ごとに様々なリスクを受ける可能性

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者に届くまでの一連の流れです。企画、原材料の調達、製造、在庫管理、配送、販売消費などのすべての工程を指します。サプライチェーンは、企業内の調整だけでは完結せず、委託元、委託先との連携の上で成り立つケースがほとんどです。農産物や海産物などの一次産業であっても、多くの工程を経て消費者の元に届きます。

 

経済のグローバル化に伴い、サプライチェーンは国境を越えて広がり、その関係性は複雑に関係しています。そのため、工程ごとにさまざまなリスクを受ける可能性があります。環境の変化、物価の高騰など、サプライチェーンが受ける影響は1つではありません。ここでは、サプライチェーンが受けるリスクの種類を解説します。

 

出典:経済産業省 通商白書2021「サプライチェーンリスクと危機からの復旧」

 


 

1‐1. サプライチェーンリスクの原因

 

サプライチェーンリスクとは、何らかのリスクが発生することにより、商品や製品の供給が滞る可能性のことです。サプライチェーンリスクの原因として、主に下記の4つがあります。

 


原因によって予想されるリスクは多岐にわたります。環境的リスクでは、震災や洪水の発生が原因で、原材料が入手困難になる、輸送体系が崩れる可能性があります。技術的リスクでは、サイバー攻撃により顧客情報の流出し、サービス停止に追い込まれるケースも考えられます。


サイバー攻撃とは?攻撃者の目的・攻撃の種類を解説

 



2. サプライチェーンリスクへの対策方法

 

サプライチェーンマネジメントを行う BCPを策定する 拠点を分散させる

サプライチェーンに深刻な問題が発生すれば、業績が悪化し、企業活動に大きな痛手を追います。サプライチェーンリスクに備えるために、まずは有効なリスク対策を把握することが大切です。以下では、サプライチェーンリスクへの具体的な対策方法を紹介します。

 

 

2‐1. サプライチェーンマネジメントを行う

 

サプライチェーンリスクの脅威に備えるには、サプライチェーンマネジメントに注力するのが大切です。サプライチェーンリスクマネジメント(Supply Chain Risk Management:SCRM)とは、サプライチェーンに起こりうるリスク動向を事前に予想し、リスクに備えるための対策を考慮しておくことです。

 

リスクを予測することで、リスクに沿った対策を事前に検討できるため、被害を最小限に抑えられます。また、リスク評価によって、現状のサプライチェーンにおける弱点を認識し直す効果も期待できます。

 

サプライチェーンマネジメントを行うときは、サプライチェーン内の関連企業に関する情報収集も欠かせません。実際にリスクが発生する前の平常時から、綿密なサプライチェーンマネジメントを実現しましょう。

 

 

2‐2. BCPを策定する

 

サプライチェーンをさまざまなリスクから守るために、BCP(事業継続計画)を策定しておきましょう。BCP(事業継続計画)とは、緊急の事態に備えて事業を継続する手段を具体的に取り決めておくことです。

 

企業が予期しない自然災害、テロ、パンデミックなどの緊急事態に巻き込まれた場合、すべての事業を並行して回復させることは不可能です。限られた資源を活用し、事業への損害を最小限に留めるために、優先して注力すべき事業を決定しておく必要があります。また、早期復旧して事業を継続するには、責任範囲を定めて、復旧までの時間や対応の目安を具体的に策定することが重要です。

 

BCPを策定したら、関係企業や取引先、企業内関係者とあらかじめ協議し、実行可能性を検討します。難しい場合は代替案を考慮するなど、具体的な取り決めが有効です。

 

出典:中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針 「1.1 BCP(事業継続計画)とは」

 



2‐3. 拠点を分散させる

 

拠点を分散させることは、サプライチェーンリスクを回避する効果的な方法の1つです。グローバルな広がりをみせるサプライチェーンは、リスク発生によって予期せず分断される可能性があります。

 

新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は、入国制限により世界中の人やモノの流通が滞り、原材料が入手困難となりました。パンデミックによる経済停滞の影響は計り知れません。コロナ危機は、サプライチェーンの分断によるリスクヘッジの重要性が改めて見直される機会となっています。

 

これまで中国やアジアに依存していた製造拠点を、他の地域に分散させるのは有効な方法です。また、原材料の調達先を複数に分散させる、製品別、事業別に生産工程を分散させるなど、事業に即したリスク回避が課題となります。

 

出典:総務省 令和3年度情報通信白書「2 サプライチェーンの分断に伴う生産拠点の移転等」

 

 



3. サプライチェーンへのセキュリティ対策

 

サプライチェーンはセキュリティが脆弱なポイントから被害が発生する

 

セキュリティの安全性担保は、サプライチェーンにとって欠かせない対策です。情報漏洩や不正アクセスは企業活動に大きな影響を及ぼします。サプライチェーンは、セキュリティが脆弱なポイントから被害が発生する可能性があります。サプライチェーンを構成するメンバー全体で高いレベルのリスク管理を実施し、万全のセキュリティ基盤を整えることが重要です。ここからは、具体的なセキュリティ対策を解説します。

 

 

3‐1. セキュリティの状態を可視化する

 

サプライチェーン全体におけるセキュリティ状態の可視化は、サイバー攻撃に備えるための重要なステップです。セキュリティ対策が求められるのは、サプライヤーのみではありません。サイバー攻撃は対策が脆弱な海外子会社や取引先を足がかりに被害を広げます。

 

技術的な側面から、コンプライアンス、リテラシーを考慮した組織的、人的ケアまでを含めた、情報セキュリティ対策を専門とする部署を設けることが対策の第一歩です。定期的なセキュリティレベルのチェックや、進化するサイバーリスクへの継続調査を進め、関係各所と情報を共有して危機を未然に防ぎます。

 

 

3‐2. 技術的な対策を行う

 

サプライチェーンへのセキュリティ攻撃を防止するために必要なのは、技術的な対策です。攻撃の対象となる要因を押さえて、十分な対策を検討することが重要になります。

 

近年、大企業でも多く利用されているWebアプリケーションや、スマートフォンの業務活用は、セキュリティ対策がおろそかになりやすい傾向にあります。脆弱性診断ツールやサービスを利用し、セキュリティ対策の弱点を洗い出しましょう。また、アクセス制限を設定し、情報にアクセスできる人員を精査するなどの対応もメリットがあります。

 

 

3‐3. 組織的な対策を行う

 

組織全体がセキュリティ対策に意識を向ければ、サプライチェーンリスクが低減します。サプライチェーン全体に向けた、セキュリティ対策ガイドラインを導入、実施することが、サイバー攻撃に備えるための近道です。

 

まずは管理体制を構築し、サイバー攻撃のリスクを把握します。経営方針に即した対応計画を策定し、実施と改善を繰り返します。アクシデントが発生した場合は、すぐに対応できる体制を整備することも重要です。見覚えのない添付ファイルは開かない、安易なパスワード設定を避けるなど、基本的なセキュリティーリテラシーの認知も必須です。

 

 



まとめ

 

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者に届くまでの工程を言い、複数の企業・業者が関わります。しかし、自然災害や政治不安、経済危機、サイバー攻撃など、サプライチェーンは複数のリスクにさらされています。

 

サプライチェーンリスクへ対応するためには、事業継続計画を設定したり拠点を分散させたりなど、あらかじめサプライチェーンリスクマネジメントをしておくことが大切です。また、発生を防げるサイバー攻撃や不正アクセスについては、セキュリティ対策をしっかりと行い、危機を未然に防ぎましょう。




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